「人生で初めてメタフィクションの洗礼を受けた時」
食事は体を作り上げる滋養であり
物語は人生を作り上げる滋養である。
昨日、「自分が人生で衝撃を受けた物語」というのを思い返してみると、
色々浮かび上がった作品がありましたが、その中でも
「BD7 少年探偵団」
これについて少し語りたいと思います。
なお、記憶を辿って書いていますので最終回の描写など細かい所に間違いがあるかも知れませんのでご了承を。
1975年から1976年に放映された特撮ドラマで、
江戸川乱歩の「怪人二十面相と少年探偵団」を1970年代にアレンジした作品となっています。
この作品、平清盛の亡霊を天本英世が演じてたり、色々本編以外の見どころも多いのですが、とにかくオチが凄かった!これが子供時代の俺に深く深く、この歳になっても思い出せるぐらい突き刺さっているのです!
この作品、BD7こと少年探偵団と明智小五郎が怪人二十面相と毎回対決していく探偵ものな訳ですが、怪人二十面相は、毎回マスクや変装で素顔を隠し、オープニングに出てくる配役テロップでもご丁寧に「怪人二十面相 ?」となっており配役すら明かされていなかったのです。
今見ると声とかでバレバなのですが、見ていた時は子供だったので「いったい二十面相の正体は誰なんだろう?」とそれはワクワクしてみていました。
そして見続けて半年経った最終回、オープニングの配役テロップに
と出ていたのです。
この時、「あ、知ってる!この人「帰ってきたウルトラマン」の郷秀樹だ!」
これで俄然テンションがブチ上がり、見始めると驚きました。
いきなり団次郎が素顔で登場したのです。
「あ、怪人二十面相が素顔で出てきた!」と喜んでいると面喰いました。
少年探偵団の面々が、
「あ、俳優の団次郎だ!」
「サインください!」
と明らかに「怪人二十面相」ではなく「俳優 団次郎」として、怪人二十面相に接しているのです。
俺の頭の中で「???」とハテナマークが浮かびますが、団次郎は「サインはまたあどでね」といなしてその場からいったん消えます。
そしていつも通り怪人二十面相が犯罪を起こしてから変装して潜んでいると、明智小五郎が二十面相の正体を見破ります。
変装を解いて、いつもの通りマスクで素顔を隠した二十面相。
さすがに最終回っぽく、
「明智君、今日こそは決着をつけよう!」
と宣言し、銃を構えますが明智小五郎はあっさり二十面相を捕まえます。
明智小五郎が「二十面相!今日こそ素顔をみせてもらうぞ!」とマスクを取ると
団次郎の顔が出てくる。
すると少年探偵団の面々が、
「団次郎が怪人二十面相だったなんて!」
「ウソだ!そんな事あるわけない!」
と驚いて叫びだします。
そう!「BD7 少年探偵団」は、
「実は団次郎本人こそが怪人二十面相」というメタフィクションだったのですよ。
団次郎はこの後「サインできなくて残念だったな」と捨て台詞をかました後、
車で逃走。
最後は車ごと海岸で自爆します。
当時子供でメタフィクショの概念など理解できなかった俺は、
「団次郎は本当は怪人二十面相で、海岸で死んじゃった...」と目の前の事実をただ受けれるしかなかった。
思い返すとこの時の体験こそが
「人生で初めてメタフィクションの洗礼を受けた時」
だったわけです。
あれから何十年も過ぎましたが、この時の体験が深く深く突き刺さって、メタフィクションは今でも大好きです。
そして、ここまでわざわざ読んで頂いた方々にひとつだけ尋ねてみたい事があります。
「あなたが、人生で初めてメタフィクションの洗礼を受けたのはどういうお話ですか?」
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