昼飯にそばが食いたくなって

昔から馴染みの蕎麦屋にいったら定休日だった。
そのまま車を走らせて市内の美味そうな蕎麦屋を回るが全部定休日。
蕎麦屋って木曜定休が多いのな。そばがき食いたかったのに!

なんで蕎麦屋でそばがきをわざわざ食べるのか?

この疑問に関しては、俺の親父の話を語らないとならない。
ウチの親父は昭和五年生まれで、いわゆる「古き良き親父」だった。
よく家族を連れて飯を食いに行く事が多かったが、蕎麦屋に入ると必ず
蕎麦と一緒にそばがきを注文していた。
俺がまだ中学生の頃天せいろをすすりながら、親父に
「父ちゃん。蕎麦屋にきたんだからそばがきの分も蕎麦食べりゃあいいじゃん。」
と尋ねると、親父はこう答えた。
「結局、これが一番そばの味がして美味い。良く、粉とか汁とか薬味にこだわる人
に限って、そばがきを食べようとしない。
Hellbaby。喉で蕎麦を食べろ。下らないことにこだわって頭で蕎麦を食べても美味しくないぞ。」
俺は親父のそばがきを少し分けてもらった。美味かった。

それ以来、そばに関しては食い方とか作法とか必要以上に書いてある文章や
喋っている人を見ると、
「ああ、頭で味わってるんだな。」
と、思うようになった。

補足すると、親父はこういう考えを他人にひけらかす人では無かったようだ。

最近、教育がどうのこうの言っているのを良く見かけるが、ただ一緒にいるだけで
学べることはあるんだよね。