俺の俺による俺の為のプレゼント

クリスマス・イヴというやつだが、テラウェアのシングルナンバーである俺は

クリスマスも当然シングル。自分に向けてクリスマスプレゼントを購入

する為に本屋に向かった。

すると電撃萌王の最新号*1が置いてあった。その時━

シャンシャンシャンシャン

まるで猪狩の前で刃牙が手拍子をしたような音が辺りに響き渡った。

シャンシャンシャンシャン

違う!これは鈴の音だ!しかも俺の脳内から聞こえてくる。

「メリークリスマス!」

俺の脳内に怒声と共に現れた老人は、血のように赤い装束。1000年以上、

激動する世界情勢の中で常にプレゼントを配りつづけたプロだけが見せる佇まい。

間違いなく、サンタだ。

「どうやら欲しいプレゼントは決まったようだな。」

地獄の底から響いてくるような渋い声でサンタは言った。

サンタの視線の先には電撃萌王があった。

俺は必死に反論した。

「違う!なんで来年34になる俺がわざわざクリスマスに電撃萌王を買わなきゃ

いかんのだ!欲しいなら別の日に自分の金で買うわ!」

「無駄だ。」

サンタは俺を一睨みして一喝した。

その眼光は睨んだだけで目標の屋根を爆破して、煙突の変りの突入口を造る。

そんな、眼光だった。

「クリスマスに最も欲しいと思った物を与えるのが俺の仕事なんだ。

抵抗しても無駄だぞ。21世紀まで生きつづけた

俺の力は既にキリストを超えている。」

サンタは無造作に俺の頭にずぶりと指を食い込ませると、小指一本で

運動中枢と言語中枢を操作した。

俺は何の抵抗も出来ないまま、電撃萌王を抱えて、サイフから千円札を

引っ張り出してレジに向かわされ、

「スイマセンコレクダサイ」とカタカナで言わされた。

その姿を満足そうに見たサンタは電撃萌王を俺の靴下に捻じ込むと、

「メリークリスマス。」と呟いて刃牙の手拍子と共に去っていった。

後には自分の靴下に電撃萌王を捻じ込んだまま、安堵と脱力感に包まれ

泣きじゃくる俺がいた*2

*1:週刊わたしのおにいちゃんのプレフィギュア付き

*2:フィギュアの出来はイイっす