読まなければよかった。

 長い人生の中でごく稀に、

「今まで読んでなかったのを本気で後悔する本。」

というのがあります。

最初にその本を見かけたのは一昨年。

自分の中で「児童書を読みこんでみよう。」と思い、児童書コーナーに

足しげく通った時に平積みにされて、帯に

「第38回児童文学協会賞、受賞!」

と書いてあったのがその本だった。

一冊の値段が¥1,500と少し高かったのと、少しひねくれた感性を持った俺は

「そんな賞とったあたりまえに面白い本より、無名でもべらぼうに面白い一冊を

俺は児童書コーナーで見つけたいんだ。」

とそっぽを向いて無視していた。

「今の俺なら、一昨年の俺をぶん殴っても読ませるだろう。」

そして先週、角川文庫からその本が1巻だけ文庫落ちしているのを見つけて、

「試しに読むか。」と購入。

読み始めると、一気に面白さに引き込まれた。

面白い。

ただ、面白い。

読んでいると、頭頂部がチリチリと焦げるように熱くなる。

ヤバイ。本当に面白いものを読んだ時起きる感覚が連続して続く。

今日、児童書のコーナーで続きを全部購入しようとしたが、「3巻」と「5巻」

しかなく、それでも

「今日、少しでも、飛び飛びでもこの本の続きが読めないのは嫌だ!そんな事は

ありえない!」と3巻と5巻購入。

「読んでいる今、また頭頂部が焦げ出している。」

直感だが多分間違っていない。

「今年はこれより面白い本はもう読めない!」

そんな訳で理屈は要らない、読め。首をかけてもいい!この本は面白い。

「バッテリー」Ⅰ〜Ⅴ巻 あさのあつこ著 (教育画劇