仮面ライダー剣 最終回

 今までの展開が全て許せる石ノ森イズム溢れる最終回でした。
 思えば、石ノ森の作品はテレビ化される度に、その終わらせ方故に
原作とはかけ離れた最終回が常に放映され続けてきました。

・戦い続けてきた悪の組織ショッカーの正体が、
日本政府そのものと分かる「仮面ライダー」。

・首領を倒した後で実は父親と分かり、
なおかつ倒した化身忍者が自分の兄弟と知り、絶望する「変身忍者 嵐」。

服従回路を埋め込まれ、良心の束縛から解放されギルを殺すことに成功はするが、
永遠に善と悪の心の葛藤を背負うことになった「人造人間キカイダー」。

一人の主人公が「世界の平和」というかけがえのないものを得るために、代償として自らの大事な「何か」を失う。
 この悲劇性の多くは上記したように、最終回で多くは描写され、それを俺は石ノ森イズムと呼びます。

 石ノ森作品は子供向け特撮として実に多くの作品が映像化されてきましたが、
そのジャンル故にハッピーエンドを要求され続けており、その度に原作を読んだ人間は、
「これはこれで面白いが、石ノ森のマンガとは違う。」
と常に歯噛みをしてきたものでした。

 そして、昨日の剣の最終回は、俺の中で感動を呼びました。
 そこには、確かに「キカイダー」や「変身忍者 嵐」のマンガ版で感じ取った
石ノ森イズムが再現されていたからです。*1

 生かしておくと「世界の破滅」を呼ぶ、アンデット、ジョーカーこと始。
 自らの能力と宿命、「人を守る仕事」を目標としてきたBLADEこと剣崎。
 彼が最後に行った選択には「世界の平和」「人としていきたいという始の願い」
を得るために自らの大事な「何か」を失う。

 過去において到達できなかった石ノ森イズム*2溢れる最終回にただ感動しました。
 正直にいうとグダグダな話や、役者のド下手な芝居など
もう見てられないほどつらい回が多数ありましたが、最終回を見た後では言えます。

「この番組を見て良かった!!」

ここでどういう決断だったのかは書きません。
ぜひとも本編を自分の目で見て、自分で感じ取って下さい。

見てない奴?

「どうせオタクを気取るなら、他の番組見るよりカッコイイBLADE見ないと損だぜ。」*3

*1:石ノ森イズムに近い特撮の最終回というと「超人機メタルダー」があります。人間に変身する機能を失いながらもゴッドネロスを倒した最終回は良かった。これを外しているのは「原作:石ノ森」じゃないから。メタルダーに関しては色々語りたいが、「トップガンダーとクールギンのどっちがかっこいいか?」など千日戦争を孕む議題とかポップアップするので割愛。

*2:ちなみに「龍騎」は最終回で世界が再生されて、それまでの話が無かったことにされてしまったので、主人公が最終回前に死んだがダメ。「555」は主人公がオルフェノク故にいずれ滅びることを予兆させましたが実際には滅びなかったのでダメ。あくまでも石ノ森イズムとしての評価です。

*3:板橋しゅうほう「凱羅」参照。あ、「プリキュア」とか「デカレンジャー」見ていながら「BLADE」見ていなかった人達に向けてますよ(敵性発言)。