「天国」

たまには「かっこいいサタスペ」をやりたい。と最近思うようになり造ってみました。
かなり暗い話です。
プレイ人数:2人
プレイ時間:2〜3時間
シナリオ執筆:Hellbaby
シナリオ概説:孤児院から持ち去られた少年の死体。それぞれの天国を夢見る亜侠達が、もがきあがいた果てに君達が見る天国とは?
■フォア・プレイ
このシナリオは「バンガイ」となったPC2人で遊ぶことを推奨します。
またこのシナリオではキャラクター達の利害が対立する可能性があります。
できれば新しいキャラクターを造って遊ぶのを推奨します。
セッションが始まる前に以下のハンドアウトをコピーして、各トリッパーに渡して下さい。これにはキャラクターの背景情報が書かれています。誰にどのハンドアウトを渡すかはDDが任意に決めて構いません。もしキャラクターメイキングを行っていなければ、その前に全てを公開し、トリッパーに自由に選ばせても良いかもしれません。

PC①用ハンドアウト
<天国に住む子供>
 キミは良く孤児院「天国」に出入りしている。たった一人で生きている自分と孤児達がどこか重なるのだろう。そのなかでもクオーレという少年はよくキミを慕っていたが、あっけなく病で死んでしまった。その後、院長であるガブリエル=横溝からクオーレの死体が盗まれたと連絡があった。院長から死体を探してほしいと依頼を受けてキミは死体を探すことにした。

PC②用ハンドアウト
<間抜けな友人>
 貴方には間抜けな友人の亜侠がいる。名はエドモンド。銀行強盗をすると逃走用の車が駐車違反でレッカー移動されているような、間抜けで不運な犯罪には向かない男だ。
しかしエドモンドは犯罪で一攫千金を夢見ている。妹のマレーネが難病でその治療費を稼ぐ為に。ある日、エドモンドと連絡が取れなくなった。妹も行方不明だ。
エドモンドがドジを踏んだのかも知れないが、妹も行方不明になるのは妙だ。
貴方は犯罪と金の匂いを嗅ぎつけ、エドモンドを探すことにした。

■タイムスパン
このシナリオのタイムスパンは2です。無理(p52)をすると追加で1W行動できます。

■舞台
このシナリオの主な舞台は沙京(p154〜155)となります。

■導入
このシナリオは個別の導入で始まります。最初にPC①の導入を伝えて下さい。

●描写
キミは今日も孤児院「天国」に足を運んだ。
周囲に薄汚いスラムがひしめくなかで、ここだけは穏やかな雰囲気に包まれている。
孤児達は皆陽気で、はしゃいでいる。院長のガブリエル=横溝が笑顔で迎える。

孤児院「天国」では子供達は暖かいベッドと満足な食事を与えられ、健やかに過ごしています。
全てはガブリエル=横溝が孤児の為に苦労して今の環境を維持しているためですが、ガブリエルはそういった苦労を孤児に伝えないようにしています。
DDは子供達が明るく元気に過ごしている様子を伝えて下さい。また天国では自給自足の為に豚を飼っています。子供達は豚を「トントロ」と名づけて可愛がっています。
DDは以下の文章を読み上げて下さい。

ガブリエルは少し曇った顔でキミに言います。
「相変わらず元気そうだね。良かった。」
「クオーレがキミと遊びたがっているが、風邪が思ったより酷くてね。」
「孤児達に今の環境を維持するのがせいいっぱいで満足な薬も与えられない。天国とは名ばかりだよ…」
「クオーレに会ってやってくれないか?」

クオーレは孤児院のベッドで寝ています。キミが見舞いに来るとクオーレは起き上がって遊ぼうとしますがすぐに咳き込みます。病状はだいぶ悪そうです。
「あ!来てくれたんだ!」
「遊ぼうよ!!ゴホッ、ゴホッ!!」
「ごめんね。せっかく来てくれたのに。元気になったらまた遊ぼうね。」

そのままクオーレは寝こみます。キミはなすすべもなく孤児院を後にします。
数次間後、ガブリエルから連絡が来ます。
「クオーレが亡くなったよ。キミが帰ってから程なくね。」
「肺炎が悪化してね。どうしようも無かった。」
「しかも許せないことが起きた。クオーレの死体が行方不明になったんだ。」
「葬儀の準備でクオーレから目を話した隙に誰かが死体を盗んだらしい。病に苦しんだ子供の亡骸を、許せないよ。」
「そこで相談がある。クオーレの死体を探し出して欲しい。オオサカはひどい街だ。もしかしたら臓器売買で死体は売られているかも知れないが全て取り戻してくれないか。
もちろん亜侠であるキミにただで仕事を頼もうとは思わない。孤児院を担保にして金は用意した。」

(報酬として「札束」一つを提供します。)
依頼を受けたらPC①の導入は終了します。
次にPC②の導入を伝えて下さい。

●描写
貴方はエドモンドに呼ばれて彼の自宅にやってきた。
自宅には大量の粉が入った紙袋が転がっていて、その袋を抱きしめてエドモンドがおいおい泣いている。エドモンドは貴方に抱きついて言った。
「また騙されちまった!あいつら上物のペイを卸してくれるって言ったのに!!」
袋には大きく「薄力粉」と書いてある。字も読めないのにヤクの取引を行おうとする、エドモンドはそんな間抜けな男だった。

エドモンドは真面目かつバカ正直で間抜けな、およそ亜侠には向かない男ですが、妹のマレーネの治療費を稼ぐ為に一攫千金を夢見て犯罪に手を染める。そんな男です。
DDはエドモンドの真面目さと間抜けさをアピールして下さい。なお妹のマレーネの容態は悪く、貴方が来たときは隣の部屋で眠っています。
DDは以下の文章を読み上げて下さい。

エドモンドは思いつめたように喋り始めます。
「金が要るんだよ!金が!!」
マレーネの容態がどんどん悪化しているんだ。この前なけなしの金を払ってミナミの医者に診てもらったら「獣医の俺でも分かる。一刻も早く治療を行わないとこの娘は死ぬぞ。」ってはっきり言われたよ!!」
「このままじゃマレーネが天国に行っちまう!二人きりの家族なのに!!」
「待てよ…天国、もしかして天国なら……」
「すまない。金の相談をしたくてあんたを呼んだんだが、なんとかなりそうだ。考えたいことがあるんで悪いが今日は帰ってくれ。」

エドモンドはなにか思いついたように帰るのを促します。

翌日、気になって貴方がエドモンドの自宅を訪れると中はもぬけの殻です。
ベッドから起きあがれない筈のマレーネもいません。自宅が荒らされた形跡はなく、どうやら二人は自宅から出ていったようだと伺えます。
部屋を調べると間抜けなエドモンドは字が読めないのに百科事典が置いてあります。中を開けると貯金箱の代わりにしていたのか、「札束」1つ分の現金が挟んでありました。
幾ら間抜けなエドモンドでも現金を忘れるとは思えません。
犯罪に巻きこまれたのか、もしかしたら金の心配が無くなったのかも知れません。妹の治療費に困らないほどの金が。
貴方がエドモンドの行方を探すことにしたなら導入は終了です。

■情報
 このシナリオでは情報収集ルールを使って、以下のことを調べることができます。

エドモンドのゆくえ
SL1:音楽、ガリ勉、トンデモ、マニア
大阪市ゴミ処理場に逃げ込んでいるのがわかります。ゴミ処理場にいくとイベント:「正直者の末路」が発生します。
●クオーレの死体
SL1:育成、アブノーマル、健康、飲食

●臓器売買

NPCデータ

エドモンド 男 22歳
マレーネの心臓移植の治療費を稼ぐために犯罪に勤しむ、ドジで間抜けな亜侠。
データは黒服(p126)を使用。追加装備で誓約書:「妹を健康に暮らせるようにする。」を持っている。*1
肉体点:□□□-1□□□-2□□□ST□
精神点:□□□-1□□□-2□□□ST□

マレーネ 女 14歳
エドモンドの妹。心臓が弱っており、普段はベッドで寝たきりである。
データはじゃりンこ(p115)を使用。

ガブリエル=横溝 男 33歳

「現実は地獄だ。しかし、額に汗したものだけがこの世界を「天国」に出来る。」

長髪を束ねて、つねに笑顔を浮かべる、容貌の整った男。
服装:太平愛

犯罪:3 生活:6 恋愛:3 教養:2 戦闘:4 

肉体:5 精神:5 性業値:9

移動力:5(7)  攻撃力:7  破壊力:1

趣味:育成、アブノーマル、健康、飲食

異能:縄張り(親分)、召喚(親分)、血の饗宴(キジルシ)、不眠不休(キジルシ)、兇手(殺し屋)

代償:暴走(キジルシ)、面子(親分)、道楽(親分)、一家(親分)、殺人狂(殺し屋)

装備:誓約書「自分にとっての「天国」を実現する。」を持っている。*2


武器:ワルサーPPK(二丁)

(命中:6 効果:2 射程:20m 装弾数:7 特殊機能:高速2、防御2、必殺12)

肉体点:□□□-1□□□-2□□□ST□
精神点:■□□-1□□□-2□□□ST□*3

「天国」の子供(二名) 

「外に比べれば、「天国」のほうがずっといいよ。」データは洗脳人間(p127)を使用。

肉体点:□□□-1□□□-2□□□ST□
精神点:□□□-1□□□-2□□□ST□

肉体点:□□□-1□□□-2□□□ST□
精神点:□□□-1□□□-2□□□ST□


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*1:説得や命令は事実上不可能

*2:説得や命令は事実上不可能

*3:クオーレを回収できなかったので一家の代償で1点トラウマを負っています。