過載積問題

mixiから転載。
 このところなかなか遊べなくて、先週の水曜に久々にセッションをやりました。

それで、セッションやって思ったのですが、

「もしかしたら自分のロールプレイやシナリオに過載積が発生してるかもなぁ」

と言うことです。

ここで、俺が言ってる過載積とは何かと言いますと、

「シナリオとかの描写がプレイアビリティを欠くほどに過剰、かつ派手になってはいないか」

と言うことです。

 要するにシナリオとかに、
「面白いこととかを過剰に欠きすぎて、PL側のリアクションをスポイルしているんじゃないの?」

と言うことです。

 何でこういうのが発生するかというと、他人様はどうか知らないが、俺が自分でシナリオ書くときは例えば描写であれ、NPCの台詞であれ

「これがGMの口から語られた時にPLがどうリアクションするか」

を想定して書く。

このメタゲームを通じて、シナリオのプレイアビリティが一定以下にならないようにしているわけだ。

 ところがこれが、遊んでいないと途端にブレる。

理由は簡単で、遊んでいるPLの実像がセッションという実体験を通じて補強され続けていないので、だんだんとメタゲームの対象としてのPLが、自分にとって「シナリオを書きやすいPL」へとすり替えられていく。

つまり、長ったらしい描写を書くのが好きな人にとっては、

「長ったらしい描写をなんの不満もなく受け入れて、その後それに対応するPL」

俺みたいに、発想とかネタを書くのが好きな人にとっては、

「どんな突飛なこと書いても、フリーズとか困らずに受け入れて、すぐにリアクションするPL」

と都合のいいほうに流されていく。

 またシナリオ書いている方も、本来制御機能として働くべきメタゲームが機能しなくなるので、中島らもが言ってた「田舎のモヒカン」みたいにどんどん自分が楽な方へと先鋭化していく。

 そういうのを最近は少し自覚していたので、昨日遊べて良かったなー、とそういう話でしたとさ。

んでここまで読んでくれた人々にはもう少しおつき合いをば。

最近、上記のような理由でネタが過載積気味になっていた自分を晒してみるテスト。

●設問
以下の描写はサタスペの導入である。
あなたは上記のセッションに亜侠で参加していたものと見なして
下のコメント欄に描写に対応できる適切なリアクション、もしくはロールプレイを記入して下さい。

■描写
 ジェイルハウス―
 君たちはマリア・ヴィスコンティからの呼び出しでここで少女を待っていた。
 「インドからきた少女で名前はキサラギ
あたしが世話している少女のひとりさ」
 「キサラギは沙京で娼婦をしているが、最近、「どうしてもアイドルになりたい」と我が儘を言い出してね。」
 「あのつぶらな瞳で泣かれるとあたしも弱いんだ。と言うわけでお前達が一肌脱いでくれ、方法はまかせるからキサラギをアイドルにして欲しいんだ」
 「報酬ならいくらかあたしがだすさ、一人につき札巻一束でどうだ?
断わるなら、身に覚えの無い罪で臭い飯を食って貰うだけだ」
 「受ける気になったらジェイルハウスで待ってるんだな。キサラギをそちらに向かわせる。彼女はインド人特有のすらりと筋の通った鼻とつぶらな瞳の美少女だ。見ればすぐわかる」
 こんな会話の末に、キミたちはジェイルハウスで見たこともない美少女を待っていると、涼やかな声が響いた。

「あの、マリアさんの紹介できましたキサラギですが、こちらでよろしいでしょうか?」

振り向くと、そこには美少女が立っていた。

深い慈愛を讃えたつぶらな瞳。




彫りの深い外国人特有のエキゾチックで鼻筋が通った高い鼻。




耳は人より大きいが、それがあどけなさを強調している。




口元からは八重歯が覗いている、小悪魔のようにコケティッシュだ。



そして肌は曇り空を思わせるような、鮮やかな灰色だった。


キサラギ・エレファント。

 胴回りが7.2mと少しスレンダーなのが悩みの、二歳の雌の象がそこにいた。

 キサラギは憂いを讃えた表情でキミたちのテーブルに座ると、
「無理なお願いをしてすみません。あの、あたしもお酒頼んでよろしいでしょうか?」
 キサラギはバーテンに甘い声で囁いた。
 確かに水商売には慣れているようだ、娼婦をしているというのも嘘ではないだろう。

「すみませんが、ソルティードッグをヤサイニンニクマシマシでお願いします」

 バーテンは、注文を聞いてから、一流の手際でカクテルを造った。

 ドンブリにウォッカだれを入れた後に、大鍋から、煮込んで充分にダシがでたグレープフルーツジュースを注ぎ込み、ボイルした野菜と刻みニンニクを大量に載せて、チャーシューを添え、背脂を振りかける。
 最後にボイルしたキャベツでドンブリの縁を濡らして、グルエースを周囲に塗りつけてからキサラギの元へ運んできた。
 横にさりげなく添えられたチェイサーは、プラスチックのコップ注がれて、中にレンゲが入れてある。
 一流のバーテンならではの心配りが感じられた。

 キサラギはボイルした野菜がカクテルに馴染むように、鼻で器用に裏返してから突き崩して食べ始める。
 キサラギは寂しそうに呟く
「本当はお酒の味なんか覚えたくなかったんです…
あたし、一日でもいいから人々に褒められたい、人々に賞賛されて、「生きててよかった」って思いたいんです」
「けれど、こんな水商売をしているあたしなんかじゃ…」
野菜を運ぶ鼻が止まり、微かに震えている。
 オオサカという大都会ですり切れそうになっている外国からの少女。
彼女のささやかな夢が叶えられるのかは、キミたちが依頼を受けるかどうかにかかっている。