雨の中の少女
旧作、『正義の手-Hand of justice-』を3rd対応として書き直したものです。
■注意事項
本編は『ダブルクロス３nd Edition』のシナリオである。プレイヤーは読まないこと。
なお、本文中で（ＤＸ１・ｐ*）と書かれていた場合、
『ダブルクロス３nd Editionルールブック１』のページを、
（ＤＸ２・ｐ*）と書かれていた場合、
『ダブルクロス３nd Editionルールブック２』のページを示している。
†プリプレイ†
■キャラクター作成と諸注意
シナリオ「雨の中の少女」を遊ぶ際のキャラクター作成および諸注意について解説する。
プリプレイでは、ＧＭはトレーラーとハンドアウトをプレイヤーに向けて読み上げる。
その後、クイックスタートもしくはコンストラクションでキャラクター作成を行なうこと。
プレイヤーの人数が５人よりも少ない場合、ＰＣ番号の若いものを優先すること。
▼クイックスタート
本シナリオでは以下の５つのサンプルキャラを使用することを優先する。
ＰＣ１：不確定な切り札（ＤＸ１・ｐ４８）
ＰＣ２：閃光の双弾（ＤＸ１・ｐ５０）
ＰＣ３：誇りある紅（ＤＸ１・ｐ５２）
ＰＣ４：深緑の使徒（ＤＸ１・ｐ５４）
ＰＣ５：紅玉の瞳（ＤＸ２・ｐ７４）
▼コンストラクション
コンストラクションでキャラクターを作成する場合、ワークスはハンドアウトで推奨されたものを選ぶこと。
特に指定していない場合はＧＭと相談して好きなものを選んでよい。
■ステージ
東京近郊Ｎ市を使用する。（ＤＸ１・ｐ３０６）を参照すること。
■ストーリー
コードウェル博士がＦＨに参戦したことで、ＵＧＮには混乱がもたらされた。
その機会を狙って、ＦＨのエージェントである内山時雨と北山光の二人はＵＧＮの協力者の暗殺を開始した。
時雨はＦＨを裏切ってＵＧＮに内通した由井を暗殺した時、ＵＧＮのエージェントから
「霧谷雄吾がＮ市に視察に来る。」という情報を入手したのだ。
霧谷を殺せばＵＧＮの混乱はさらに進み、回復する手だては減るだろう。
しかし、時雨はその時、ＰＣ１と偶然出会ってしまう。
運命の歯車は狂い始めていた。
■トレーラー
●ハンドアウト
まず、下にあるハンドアウトをプリントアウトして切り離しておいて下さい。
そして、キャラクター作成に移る前にひとつひとつのハンドアウトを
ＧＭが読み上げて下さい。
その後に、各ハンドアウトをプレイヤーに配布すること。
どのハンドアウトを誰に配布するのかはプレイヤー間で決めてもよいし、
ＧＭが任意に決定してもよい。
プレイヤーの人数が少ない時には若い番号のものを優先させること。
ハンドアウトにはシナリオロイスとキャラクター作成の助けとなる
導入用の設定が書かれている。
▼ＰＣ番号
本文中にあるＰＣ?〜?という番号は、それぞれのＰＣを表している。
会話中や、読み上げる時はＰＣの名前に置きかえること。
▼ロイス
今回のシナリオで与えられるロイスである。
▼推奨感情
そのロイスに対する推奨感情である。
▼クイックスタート
クイックスタート用のサンプルキャラクター。
▼カヴァー/ワークス
フルスクラッチでキャラクターを作る時に指定するワークスないしはカヴァーである。
▼解説文
このシナリオにおいて、そのキャラクターにつく設定である。
■シナリオハンドアウト
各ＰＣには以下の設定がつくので、キャラクター作成の時によくプレイヤーと相談すること。
ＰＣ?：特になし。男性が望ましい。
ＰＣ?：由井寛治と同僚である。
ＰＣ?：ＵＧＮのＫ市支部長である。
ＰＣ?：ＵＧＮチルドレンである。
ＰＣ?：特になし。
ＰＣ?用ハンドアウト
ロイス："激しい雨(ハードレイン）" Ｐ：好意/Ｎ：恐怖
クイックスタート：不確定な切り札
カヴァー/ワークス：指定無し/指定無し
君は自分の能力を隠して日常のなかで平穏に暮らしている。
しかし自分がオーヴァードのせいか、ちょっとした異変も察知してしまう。
その日も歩道橋の周辺の空に妙な黒雲があるので、つい確かめに向かってしまった。
運命の出会いが待つとも知らずに。
ＰＣ?用ハンドアウト
ロイス：由井寛治（ゆいかんじ） Ｐ：連帯感/Ｎ：猜疑心
クイックスタート：気高き守護者
カヴァー/ワークス：刑事/指定無し
同僚の由井の様子がおかしい。数日前も妙な事を相談してきた。
今、抱えている事件が終わったら相談に乗るとしよう。何か力になれれば良いのだが。
ＰＣ?用ハンドアウト
ロイス：霧谷雄吾（きりたに ゆうご） Ｐ：信頼/Ｎ：隔意
クイックスタート：水晶の瞳
カヴァー/ワークス：指定無し/ＵＧＮ支部長
君は今、二つの問題を抱えている。
一つはＵＧＮ日本支部長、霧谷雄吾がＫ市支部に視察に来る事。
もう一つはＵＧＮの協力者を狙った連続殺人がＫ市で起きていることだ。
君は二つの問題を解決しなければならない立場にある。
ＰＣ?用ハンドアウト
ロイス：北本 光（きたもと あきら） Ｐ：憧憬/Ｎ：嫉妬
クイックスタート：白き閃光
カヴァー/ワークス：指定無し/ＵＧＮチルドレン
君は疲れていた。日常に、チルドレンとしての任務に。
わずかな時間をさいて普通の人間と同じように駅前商店街を
散策しようとしたのも無理からぬことだろう。
しかし、君は慣れない人ごみの中でバックをひったくられてしまった。
ＰＣ?用ハンドアウト
ロイス:新条 梢（しんじょう こずえ） Ｐ：庇護/Ｎ：脅威
クイックスタート：錆びついた刃
カヴァー/ワークス：探偵/指定無し
君はプロの探偵だ。地味な仕事をこつこつとこなしていく、そんなプロだ。
だから小学生がからかい半分に依頼に来たときも話を聞くふりをしていただけだった。
あんな事態を招くことになるとは知らずに。
●クイックスタート
クイックスタートのキャラクター指定は、次の５人を用意している。
この中からプレイヤーに選ばせること。
ＰＣ? :不確定な切り札（ＤＸ・Ｐ５８）
ＰＣ? :気高き守護者（ＤＸ・Ｐ７６）
ＰＣ? :水晶の瞳（ＤＸ・Ｐ６０）
ＰＣ? :白き閃光（ＤＸ・Ｐ６４）
ＰＣ? :錆びついた刃（ＤＸ・Ｐ７４）
▼カヴァー/ワークスの指定
フルスクラッチで作成する場合、カヴァー/ワークスの指定は以下の通りである。
ＰＣ? :指定無し/指定無し
ＰＣ? :刑事/指定無し
ＰＣ? :指定無し/ＵＧＮ支部長
ＰＣ? :指定無し/ＵＧＮチルドレン
ＰＣ? :探偵/指定無し
●ＰＣ間ロイス
キャラクター作成が終わった時点で各プレイヤーにＰＣ紹介を行わせること。
その後、ＰＣ間ロイスを結ばせ、メインプレイに移ること。
ロイスはＰＣ番号順にとること。
つまり、ＰＣ?→ＰＣ?→ＰＣ?→ＰＣ?→ＰＣ?→ＰＣ?という順番である。
▼シナリオ情報技能
ＰＣ全員にシナリオ情報技能として、＜情報：Ｋ市＞を１レベル渡すこと。
■オープニング・フェイズ
このシナリオではすべてのＰＣにひとつずつ
オープニングが用意してある。そのため、自動登場以外
のＰＣは登場不可とする。
●春雨（ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?が黒雲の方に走っていくと、雨の下では虐殺が行われていた。
降りしきる激しい雨粒が次々と人々を刺し殺していき、
路上には緋い河が蛇のようなうねりをつくって流れていた。
ＰＣ?は周囲を見渡すと歩道橋の上で傘を差している少女を見つけた。
早春を思わせるペパーミントグリーンの傘を差し、ロングヘアーに冷たい瞳の彼女は小声で呟いている。
◆解説
内山時雨がＵＧＮのエージェントを殺しているところに、ＰＣ?が出会うシーン。
時雨とは出会いと会話を終了させたらすぐにシーンを閉じること。
この雨は時雨の従者の雲が降らせているものだが、そこまでＰＣに説明することはない。
▼セリフ：内山時雨（うちやま しぐれ）
「あたしの雨の中でも動けるなんて、貴方もオーヴァードなのね・・・。」
「この雨は世界が彼らを嫌って降らせているの。」
「私には名前なんてない。皆は私の事を"激しい雨（ハードレイン）"と呼ぶわ。」
「あの人達は死んで当然なのよ、裏切り者だから。
色々と情報も聞いたしね（死体を指差す）。」
「貴方はこの事を忘れなさい。でないと、あたしか"滅する者（ヴァニッシュ）"が
貴方を殺すことになるわ。」
◆結末
彼女の台詞に耳を疑っていると、雨の音が止んだ。
気がつくと雲は晴れていた。
ＰＣ?が空を見ている隙に彼女は消えてしまい、路上には死体だけが残った。
そして、ＰＣ?の心にほんの少しの"心残り（ロイス）"が。
● 出動（ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?は署で資料を整理していた。
このところＫ市で頻発する殺人事件の資料をまとめていたのだが、成果は上がらない。
聞きこみに行っている由井の連絡を待つとしよう。
ＰＣ?は数日前に、この場所で由井とした会話を思い出していた。
◆解説
同僚の由井のことを思い出すシーン。
由井が真面目な刑事であることと、少し様子がおかしいことを印象づけること。
▼セリフ：由井寛治
「なあ、ＰＣ?。俺は今まで自分の仕事に疑問を持ったことは無かった。」
「こうするのが”正義"の為だと思い、ためらわずに仕事を行ってきたつもりだ。」
「けれど、最近街の住民やお前を見て、考えが変わってきた。」
「俺は今までどおり、仕事を続けたほうがいいのか？
それとも自分が今"正しい"と思ったことをしたほうがいいのか？」
「ＰＣ?、お前はどう思う？」
「（答えを聞いて）有難う。参考にさせてもらうよ。」
◆結末
「また、事件が起きたぞ！全員出動だ」
上司の台詞でＰＣ?は回想を打ち切った。
部屋を出るときに携帯を鳴らしたが由井とは連絡が取れない。嫌な予感がした。
●指令（ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?は、資料をまとめている。
近々、霧谷雄吾が各支部の回復状況を確認するために視察を開始する。
そして、最初の候補が以前、神崎により打撃を受けたＫ市となったからだ。
貴方が資料から目を離して眉根を揉むと、電話が鳴った。
◆ 解説
Ｋ市の状況を説明するシーン。
霧谷は最近、Ｋ市で二人のＦＨエージェントが動いていることと、
殺されているのがいずれもＵＧＮの協力者であることを告げる。
▼セリフ：霧谷雄吾
「視察に伺う前に幾つか確認しようと思いましてね。」
「Ｋ市で二人のオーヴァードが活動しているのは、
支部長の君なら既に承知していると思います。」
「現在、活動している"ハードレイン"と"ヴァニッシュ"と呼ばれているオーヴァードは
二人ともＦＨのエージェントです。ＦＨ部隊との接触が目撃されています。」
「そして、殺されているのはすべてＵＧＮの協力者です。」
◆結末
「事態は一刻を争います。支部長として事態の早期解決をお願いします。」
電話は切れた。どうやら支部長であるＰＣ?が動かなければならない時がきたようだ。
このＫ市を守る為に。
●出会い（ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?は疲れていた。ＵＧチルドレンであることに。
ジャームとなった人々を倒したこともある。
彼らも元は同じオーヴァードだということを考えると、毎日が砂を噛むように辛かった。
だから、ぼうっとしていたのだろう。駅前商店街を歩いていてひったくりにあった時に、
あやうく人前で力を使いそうになってしまった。
どうせ２７円しか入っていないバッグだ。事を荒立てるより無視しようと決めたとき、
誰かがＰＣ?の裾を引っ張って言った。
「お兄ちゃん（お姉ちゃん）！
バッグとられちゃったよ！大丈夫！？」
声の方を見てみると、そこには野球帽を被り、オーバーオールを着た子供がいた。
◆ 解説
ＰＣ?と北本光が出会うシーン。
光はＴＶのヒーローが大好きな正義感溢れる子供として演じて下さい。
まだ正体はバラさないこと。
▼セリフ：北本 光
「ボク、北本 光っていうんだ。お兄ちゃん（お姉ちゃん）、お名前はなんていうの？」
「ＰＣ?さんって言うんだ。（ひったくりが逃げた方を見て）バッグは大丈夫！
正義の味方"ヴァニッシュ"が必ず取り返してくれるよ！」
「ええっ！ＰＣ?さん、"ヴァニッシュ"知らないの？！
今、ＴＶでやっている正義の味方だよ。超能力で変身して悪の組織の連中をやっつけるんだ！
ほら、あそこのテレビでもＣＭが流れているよ！」
◆結末
「じゃあ、ＰＣ?さん。ボク、用があるから帰るよ。
バッグは絶対"ヴァニッシュ"が取り返すから大丈夫だよ！」
子供は手を振りながら去っていった。もし、自分がチルドレンで無かったら、
あんな明るい子供になれたかも知れない。
街頭のテレビでは真紅のメタルスーツに身を包んだ、"ヴァニッシュ"が台詞を喋っていた。
「悪人だけが悪ではない！悪を見逃すのも悪なのだ！」
●依頼（ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?は仕事の予定も無く、事務所で寛いでいる。探偵などといっても地味なものだ。
ドラマや小説のようにカジノや豪華客船でバカンスなど取れるはずもなく、
暇を持て余していた。
そんな時、ドアをノックして少女が入ってきた。
「たんていさんのじむしょはこちらですか？お友だちを探してほしいんですけれど？」
◆解説
新条梢からＰＣ?に依頼をするシーン。
依頼は友達の北本光を探して欲しいというもの。
なお梢と光とはただの友達でありＦＨとは無関係である。
▼セリフ：新条 梢
「さがしてほしいお友だちは北本光ちゃんて言います。私と同い年の女の子です。」
「光ちゃんの両親がこの前亡くなって、それから連絡がとれなくなっちゃったんです。」
「けいさつにもお話したけど、光ちゃんが本気で隠れたら多分見つけられないと思います。
光ちゃんもすごい力を持っているから。」
「たんていさんなら人を探すのがお仕事だから、見つけられると思ってお願いにきました。」
◆結末
「じゃあ、お願いします。」
彼女はそう言って出ていった。ＰＣ?は「報酬は後払いでいいよ。」
と言って彼女の話を聞き流した。
探偵は慈善事業じゃない。金になるかどうかも分からない、冗談かも知れない
小学生の依頼など真に受ける必要はない。
突然、ノックも無しに黒服の男達が侵入して来た。男達はＰＣ?が逃げられない様に
包囲すると、銃を構えて、ＵＧＮの者だと名乗った。
「今の依頼人、新条梢の依頼を受けてもらいたい。
報酬と必要経費はＵＧＮが負担する。」
「世界の為にも彼女の心を必要以上に乱す
わけにはいかないのだ。ＰＣ?、協力を要請する。」
ＰＣ?はため息をついてから重い腰を上げた。とりあえず仕事は決まったようだ。
■ミドル・フェイズ
■出会い系シーン
●現場にて（ＰＣ?→ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?は警察に通報すると、現場で待つことにした。参考人として事情聴取をしたいそうだ。
やがてＰＣ?を先頭に警察が駆けつけた。見てみると雨に撃ちぬかれた死体の中に
由井寛治がいた。
◆解説
ここで交換される情報次の通り。
▼ＰＣ?→ＰＣ?
殺人現場に"ハードレイン"と名乗る少女がいた。
▼ＰＣ?→ＰＣ?殺された死体の中に同僚の由井寛治がいた。
●調査開始（ＰＣ?→ＰＣ?）
◆描写
どうやら今回の事件にはジャームが絡んでいるのは間違いないようだ。
そこへ殺人事件を調査しているＰＣ?が現れた。
◆解説
ここで交換される情報は次の通り。
▼ＰＣ?→ＰＣ?
殺人現場に"ハードレイン"と名乗る少女がおり、
殺された死体の中に同僚の由井寛治がいた。
▼ＰＣ?→ＰＣ?
一連の殺人事件には"ハードレイン"と"ヴァニッシュ"と呼ばれる
２人のＦＨエージェントが関わっている。また、殺されるのはＵＧＮの関係者だ。
●伝達（ＰＣ?→ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?は事態が進行していることを知った。
支部のチルドレンに警戒を行ってもらう必要があるだろう。ＰＣ?に連絡を取ることにした。。
◆解説
ここで交換される情報は以下の通り。
▼ＰＣ?→ＰＣ?
一連の殺人事件には"ハードレイン"と"ヴァニッシュ"と呼ばれる
２人のＦＨエージェントが関わっている。
▼ＰＣ?→ＰＣ?
"ヴァニッシュ"。確かさっき会った子供が言っていたＴＶヒーローの名だ。
●正義の名の元に（ＰＣ?→ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?が自宅に戻ると、玄関の前に見覚えのある物が置かれていた。盗まれたバッグだ。
路面に砂で書かれた拙い文字があった。
「バッグはとりもどしました わるい人はやっつけました
でもきをつけてください よのなかには ゆーじーえぬ
とかわるいそしきのひとがいっぱいいます ヴァニッシュ」
バッグの横には見覚えのある男が倒れていた。先ほどのひったくり犯だ。
そこへ聞きこみ調査を行っているＰＣ?が現れた。
◆解説
ＰＣ?に北本光の事を印象づけるシーン。
彼女は自分が正しいと思ってやっている事を伝えること。交換される情報は以下の通り。
▼ＰＣ?→ＰＣ?
北本光という子供が「バッグはヴァニッシュが必ず取り戻す」と言っていた。
▼ＰＣ?→ＰＣ?
北本光という子はジャームの可能性がある。
◆結末
ＰＣ?がひったくり犯の体に触ろうとすると、死体は砂となって崩れていった。
●二人の敵（ＰＣ?→ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?は北本の行方を探す為に聞きこみを続けていた。
オーヴァードのＰＣ?なら、ジャームについて何か知っているかも知れない。
ＰＣ?を呼び出すことにした。
◆解説
ここで交換される情報は以下の通り。
▼ＰＣ?→ＰＣ?
北本光という子供は"ヴァニッシュ"と何らかの関係がある。
▼ＰＣ?→ＰＣ?
"ヴァニッシュ"は"ハードレイン"と関系がある。
●情報収集シーン
◆"ハードレイン"内山時雨（歩道橋のある路上）
＜情報: 裏社会、Ｋ市＞ ７
ＦＨのエージェントの一人。雨を使っての暗殺を得意とする。
現在はＵＧＮの関係者を抹殺している。ＵＧＮの重要人物などがいたら真っ先に殺すだろう。
◆由井寛治（警察署）
＜情報 :警察、ＵＧＮ、Ｋ市＞ ７
元ＦＨのエージェント。警察の調査能力を利用してＵＧＮの協力者を探し出し、
"ハードレイン"に連絡するのが仕事だった。
自らの仕事に疑問を持ち、ＵＧＮの関係者に内通したところを"ハードレイン"に殺される。
◆霧谷雄吾（ＵＧＮ Ｋ市支部）
＜情報: ＵＧＮ、裏社会＞ ７
ＵＧＮ日本支部の最高責任者。現在のＵＧＮ日本支部の回復は彼の尽力が大きい。
暫くは各支部を視察に回り状況を確認するらしい。
もし彼に何かあればＵＧＮは手痛い打撃を負うだろう。
◆"ヴァニッシュ"北本 光（駅前商店街）
＜情報: 噂話、警察、Ｋ市＞ ７
ＦＨのエージェントの一人。
彼女の両親はＦＨのエージェントでかつジャームでもあったが、ＰＣ?というＵＧチルドレンに倒される。
光はその事を聞いてショックを受け、オーヴァードからジャーム化する。
ＦＨからは「ＵＧＮという悪の組織が両親を殺した」と伝えられ、
"ハードレイン"と一緒に「悪の組織をやっつける為」に活動を開始する。
時々、自分が「悪人」と決めた人間に対して能力を使うことがある。
ＰＣ?については何も知らない。
◆新条 梢（ＵＧＮ Ｋ市支部）
＜情報: 噂話、ＵＧＮ＞ ７
ＵＧＮが監視している中で最も危険なオーヴァードの一人。
監視しているＵＧＮ本部のエージェント達は
「彼女が他人に裏切られて世界に絶望したりしないよう」日夜活動を行っている。
北本光とは偶然知り合った、「自分と同じような力を持つ友達」という関係だ。
ＦＨについては何も知らない。探偵に依頼したのも純粋に友達を心配しての行動である。
●トリガー系シーン
●通り雨（ＰＣ?）
"ハードレイン"、由井寛治の情報を収集したら発生。
◆描写
ＰＣ?が歩いていると空が曇り、大粒の雨が降ってきた。
ただの雨ではない、おそらくは"ワーディング"。
慌てて屋根のある所へ書けこんで雨宿りをしていると、
ペパーミントグリーンの傘を差した少女が近づいて来た。少女はＰＣ?の横に立つと
傘を畳んで雨宿りをする。"ハードレイン"だ。
◆解説
"ハードレイン"がＰＣ?と再会するシーン。
彼女はＰＣ?をＦＨに誘おうとする。適当に会話したら退場させてシーンを終了すること。
▼セリフ："ハードレイン"
「二人きりで会いたかったから、雨を降らせたの。」
「ねぇ、オーヴァードになってからなにか「良かった。」と思うことってある？」
「あたしはないわ。」
「幼いころからずっと大事な時は雨が降った。
遠足のときも、友達と出かけるときも、いつも楽しみにしていることで
胸がわくわくすると、あたしの周囲だけ雨が降った。」
「そのうち、みんなあたしのことを"雨女"と呼んで嫌うようになったわ。
あたしも人とは付き合わないようになっていった。」
「この雨が自分の力だって気付いたのは同級生にリンチにあわされた時よ。」
「「暗い！」、「雨女！」、って苛められてもうどうしようもないって思ったとき、
雨が同級生達を貫いて、殺してくれたの。」
「困っていたらＦＨの人達が表れて言ってくれたわ。
「君は素晴らしい能力を持っている。気に病むことはない。
我々は君達のような能力を持ったものが大手を振って歩けるように尽力している組織のものだ。
君の力を貸して欲しい。理想の社会を共に創っていこう。」
「それから、私はエージェントとなってＦＨの理想を邪魔するＵＧＮの人間を
次々と抹殺していった。由井さんもＦＨを裏切ったから殺したわ。」
「ねぇ、ＦＨにこない？貴方も本当は気付いている筈よ？
「オーヴァードが人間と一緒に暮らすのは無理がある」
って。私達が普通に暮らせる社会を創りましょうよ！」
「（ＰＣ?の答えを聞いて）貴方も由井さんみたいにＵＧＮの絵空事を信じるんだ。
そう、ならいいわ。」
◆結末
彼女は傘を差し、立ち去りながら言う。
「もうすぐ、この街にＵＧＮの重要人物が来る。
彼を殺せばＦＨがＵＧＮを倒すきっかけはつかめる。
あたしと"ヴァニッシュ"の二人なら必ず出来るわ。」
「お願いだから、私達の邪魔をしないで。あたしはＰＣ?に雨を降らせたくはないの。」
彼女が去ると雨は止み、青空が見えてきた。しかし、ＰＣ?は思った。
「雨はまた、やってくる。」
●計画（ＰＣ?→ＰＣ全員）
「通り雨」の後に発生する。
◆描写
ＰＣ?は全ての情報を確認した。支部の全能力を使い、ＵＧチルドレンやエージェント、
果てはイリーガルまで支部に総動員して貰っている。
ＦＨのエージェントが次に霧谷雄吾を狙うのはまず間違いない。
視察を延期してもらった方が良いのではないか？
そう考えた考えた時に再び電話が鳴った。
◆解説
霧谷が敵を誘い出すために囮になることを提案するシーン。
霧谷の提案を承諾させてシーンを終了して下さい。
▼セリフ：霧谷雄吾
「明日が視察の日だが、ＦＨの件は無事に収まったかね？」
「なるほど、私が狙われる可能性が高いわけですね。」
「いや、視察には向かうことにします。支部に向かうルートも変更はしないで下さい。
私を囮にすればＦＨのエージェントも出てくるでしょう。」
「怖くない、といえば嘘になりますが、私はそれ以上に君の能力と、
君が統括するＫ市支部を信頼しています。」
◆結末
「警備はあまり厳重にしない方がいいでしょう。君を含めて５人ぐらいの
手錬がいれば十分です。人選は任せますよ。」
電話は切れた。確かにこうするのがＦＨのエージェントを誘い出すのには一番だろう。
霧谷雄吾は危険を犯して囮になってくれる。彼の信頼を裏切るわけにはいかない。
ＰＣ達は明日の準備のために行動を開始した。
●シーンの流れ
ミドル・フェイズのシナリオの流れは
「出会い系シーン」→「情報収集シーン」→「通り雨」→「計画」となっています。
プレイの際には注意して下さい。
■シナリオ構造図について
まず、大きめの紙に四角を書いたら、その中に丸を４個書いて下さい。
次に、その丸の中にそれぞれ、「歩道橋のある路上」、「駅前商店街」、
「ＵＧＮ Ｋ市支部」、「警察署」と記入して下さい。
それが、シーンセッティングする際の場所となります。
もし新しい場所が必要になったら、随時書きこんで下さい。
●クライマックス・フェイズ
●三度、雨（ＰＣ全員）
◆描写１
翌日、霧谷を乗せた高級車が支部へ向かう国道を走っていると、
突然、空を黒雲が覆い豪雨となった。
大粒の雨は激しく路上を打ちつけて、路面は雨水が洪水のように荒れ狂っている。
ＰＣ達は"ワーディング"と敵の気配を察知した。
車の前にいるのは無数のＦＨ部隊と「傘を差していない」
"ハードレイン"、そしてオーバーオールを着て野球帽を被っている少女、北本 光。
いや、ジャーム"ヴァニッシュ"だ。
◆解説
"ハードレイン"、北本 光との会話が終わったら戦闘となる。
ＦＨ部隊は２グループ。それぞれＨＰは１０。
ＤＸ・Ｐ２２１の強化オーヴァードのデータを使用し、
グループ１には＜氷剣＞２ＬＶを持たせて、グループ２には＜振動球＞２ＬＶを持たせること。
▼セリフ："ハードレイン"
「やっぱり来たんだ、ＰＣ?。本当に雨が降るときは嫌なことばかりね。」
「傘はもう必要ないの。一般人のフリをする必要はないわ。」
"ハードレイン"はこの豪雨の中、全く濡れていない。まるで彼女を雨が避けているようだ。
「貴方をあたしの雨で濡らしたくはなかった」
▼セリフ：北本 光
「え！なんでＰＣ?さんがここにいるの！？」
「そうなんだ・・・。ＰＣ?さんもあくのそしき、ゆーじーえぬの人なんだ・・・。
バッグをかえしたりしなければよかった！」
「ＰＣ?さんでもわるいひとはやっつけるよ！
"ヴァニッシュ"はどんなときでもせいぎのためにたたかうんだ！「あくをめっするために！」」
▼セリフ：霧谷雄吾
「ＰＣ?の読みどおり、ここで襲撃してきましたね。」
「後は支部長の君の采配にまかせましょう。私は迂回して支部に向かうことにします。」
「後の処理はお任せしましたよ。ＰＣ?。」
◆描写２
ＰＣ?の指示の元、潜伏していたＵＧＮのエージェント達がＦＨ部隊に襲いかかる。
ＦＨ部隊は少数を残して無力化された。
車はＰＣ達を降ろすとＵターンして別の道へ向かった。霧谷は囮の役目を果たしてくれた。充分だ。
後の役目は自分達が果たせばいい。この街を守るという役目を。
●ＮＰＣデータ
内山時雨（うちやま しぐれ）
■ＤＡＴＡ
●シンドローム：
ブラム＝ストーカー/ソラリス
●コードネーム："激しい雨（ハードレイン）"
●能力値 技能
【肉体】 ２
【感覚】 ６ ＜射撃＞３
【精神】 ３ ＜ＲＣ＞２、＜意志＞６
【社会】 ３ ＜社会：ＦＨ＞６
【ＨＰ】１０（６０） 【イニシアティヴ】１５
●侵食率 １５０％ （ダイス+６個）
●取得エフェクト
＜血の従者＞２、＜忌まわしき砲弾＞２、＜かりそめの狩人＞２、＜コウモリの羽根＞２、
＜鮮血の矢＞２、＜血族＞２、＜始祖の血統＞２、＜アクセル＞２、＜命の盾＞２、
＜痛みの水＞２、＜盲目の羊＞２、＜狂戦士＞２、＜アクア・ウィターエ＞２、
＜ヴァイタルタップ＞２
※レベルは全て侵食率の修正済である。
●従者能力値
【肉体】 ３
【感覚】 ３
【精神】 ３
【社会】 ３
【ＨＰ】２０ ※達成値２０で召還済みのものとして扱います。
※＜始祖の血統＞ですべての判定にダイス+４個。＜コウモリの羽根＞で[飛行状態]で移動できる。
●コンボデータ
従者
＜忌まわしき砲弾＞+＜かりそめの狩人＞+＜鮮血の矢＞+＜痛みの水＞+＜盲目の羊＞
- ＜血族＞
従者である雲が雨を降らせて刺し貫く。
＜射撃＞で判定し、ダイスは７個、クリティカル値は８、攻撃力は+６、
対象は［範囲］となり、命中すると３ラウンドの間、【感覚】に２個のダイスペナルティを与える。
内山時雨
＜アクセル＞+＜狂戦士＞+＜血族＞
従者の雲に命令してより強い雨を降らせる。＜ＲＣ＞で判定し、ダイスは９個使用、
クリティカル値は８となる。達成値１２で＜アクセル＞成功。
従者はセカンドアクションを行える。達成値１７で＜狂戦士＞成功。
従者の次の判定はクリティカル値が７、ダイスは+４個になる。
※実は従者は主人がマイナーアクションを消費しないと行動できませんが、
今回は例外的に"セカンドアクションは主人のイニシアティブのタイミングで行動出来る"
とします。
このことはコンボを使う際に必ずＰＣ全員に告げて下さい。
＜命の盾＞+＜血族＞
雲から降る激しい雨で相手の攻撃を阻害する。［避け］のリアクションとして行い、
＜ＲＣ＞で判定。ダイスは１０個、クリティカル値は８となります。
●戦闘の指針
従者は上空５００ｍを飛行状態で移動しており、射撃攻撃しか基本的には届きません
（アイテムの射撃武器には有効射程が書いてないので、全部届きます、エフェクトも然り）。
ＰＣが飛行状態で上空５００ｍまで移動できる場合は近接攻撃も出来ます（エグザイルの＜妖の招き＞などで従者を近接できる距離まで引き寄せるなどもありでしょう。）。
＜ヴァイタルタップ＞はルールブックには記載されていませんが、
１セッションに１回のみの使用とします。
最初のセットアップで時雨のみが使用して下さい。従者は使用しないほうが良いでしょう。
ダメージを受けて、[昏倒]か[死亡]状態になったら、＜アクア・ウィターエ＞を使用して下さい。
これも従者は使用しないほうが無難です。時雨が死んでも従者が生き残り、
まだ戦闘が長引く場合は従者は消滅させて戦闘は終了して下さい。
長すぎる戦闘はセッション自体がダレてしまいます。
■北本光（きたもと あきら）
■ＤＡＴＡ
●シンドローム：
モルフェウス/キュマイラ
●コードネーム："ヴァニッシュ"
●能力値 技能
【肉体】 ６ ＜白兵＞３
【感覚】 ３
【精神】 ２ ＜意志＞３
【社会】 １ ＜社会：噂話＞３
【ＨＰ】２２（４２） 【イニシアティヴ】８
侵食率１２０ ％ （ダイス+５個）
●取得エフェクト
＜一角鬼＞２、＜巨人の生命＞２、＜完全獣化＞２、＜獣の力＞２、＜増腕＞２、
＜ハンティングスタイル＞２、＜フルパワーアタック＞２、＜魔獣の証＞２、
＜インスタント・ボム＞２、＜ギガンティック・モード＞２、＜砂の結界＞２、
＜砂の盾＞２、＜フォームチェンジ＞２、＜練成の掟＞２、＜ヴァイタルタップ＞２
※レベルは全て侵食率の修正済である。
●コンボデータ
マイナーアクション
＜ハンティングスタイル＞+＜一角鬼＞+＜完全獣化＞
「ヴァニッシュ、バトルモード！」と叫びながら、
真紅のメタルスーツに似た鱗を全身に生やした怪物に変身する。
両腕からはドリル状の角が生えている。
素手のデータは攻撃力：+５、防御力：+５/+６に変更され、肉体の能力を
使用した判定にダイス+４個となる。
素手を除く武器、防具、道具類は一切使用不可能となる。効果はシーン終了まで続く。
メジャーアクション
＜獣の力＞+＜フルパワーアタック＞+＜インスタント・ボム＞
- ＜ギガンティック・モード＞+＜練成の掟＞
「ヴァニッシュ・ドリルクラッシュ！」と叫びながら両腕の角を巨大化させて
回転させながら突き刺す。
刺された個所は爆発を起こし、破片は砂となって砕け散る。＜白兵＞で判定する。
まず、フルパワーアタックの宣言をしてイニシアティヴを０とせよ。
ダイスは１５個、クリティカル値は８、攻撃力は+２７、対象は[範囲]となり、
装甲値を無視してダメージが入ります。
セカンドアクションは＜増腕＞を足して同じ判定をして下さい。ただしダイスは１４個となります。
＜砂の結界＞の宣言の後、＜フォームチェンジ＞+＜練成の掟＞
「ボクの仲間を悪人に傷つけさせはしない！」
角が砂のように崩れてから扇状に変形し、時雨への攻撃を防ぐ。＜白兵＞で判定。
ダイスは１５個、クリティカル値は８、防御力は+９/+１４となる。
カバーリングをしても[行動済み]にならないので、イニシアティヴが０になれば、
＜フルパワーアタック＞を使用したコンボで攻撃できる。
射撃攻撃に対しては＜砂の盾＞を足して同じ判定。ダイスは１７個となる。
●戦闘の指針
＜ヴァイタルタップ＞は内山時雨と同じ処理を行って下さい。
防御能力のない内山時雨と同じエンゲージを取り、
カバーリングで時雨を守りながら寄ってきた敵を攻撃します。
なお、ＰＣ達が寄ってこない場合はこちらから戦闘移動して攻撃して下さい。
ダメージを受けて、[昏倒]か[死亡]状態になったら、＜魔獣の証＞を使用して下さい。
●結末
彼女らを倒すと戦闘は終了する。
▼セリフ："ハードレイン"
「やっぱり、雨の日は嫌なことばかりね。生きていても何もいいことはなかったわ」
ＰＣ?が近寄って彼女を覗きこむと、雲間から差しこんだ光がＰＣ?と彼女を照らす。
「（ＰＣ?の顔を見ながら）最後に、一つだけ、いいことが、あったかな。」
「ねえ、ＰＣ?。この世界はあたしたち、オーヴァードが生きていくにはつらいけど、
貴方は"こっち"に来ちゃダメよ。お・・ね・・がい・・。」
"ハードレイン"と呼ばれた少女は目を閉じて死亡する。
▼セリフ：北本光
「ボク、まけちゃったんだ。もしかして、ボクが"わるいひと"だったのかな。」
「そうだよね、ヴァニッシュだってそうだもん。最後にはせいぎが勝って悪人が負けちゃうんだ。」
「いったい、どこでまちがえたんだろう。
ＰＣ?さんにもっとはやくであっていれば、ボク、まちがえなかったかもしれないね。」
そのセリフを最後に光の死体は砂となって崩れ去る。
気がつくと空は澄み渡るように晴れ、雨水はみるみると流れ去っていく。
何もかも洗い流すように。全ては終わったのだ。
●エンディング・フェイズ
■エンディングの描写
各キャラクターごとにエンディングのガイドラインを掲載する。
ＧＭはシナリオの結果によって演出を適宜変更すること。
●降りしきる雨の中（ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?が雨の中、街を歩いていると、
見覚えのあるペパーミントグリーンの傘を差している女の子を見つけた。
話を聞くと女性から貰ったものらしい。
「あのね、この間大雨が降る前に、女の人がくれたの。
「もうすぐ雨が降るから傘をもっていたほうがいいわよ。」って。」
「どうやって返したらいいの？」って聞いたら、
「後であたしか、この傘を探している男の人が来るはずよ。
もし男の人が来たら伝えてちょうだい。」
「「あたしは後悔はしていません。もし世界がつらくなったら傘を見て思い出して下さい。
そしてあたしのようにならないでください。」
お姉さんがそう言ってたって。」
「はい、傘を返すね。」
少女は傘をＰＣ?に渡すと走っていった。
◆解説
ＰＣ?に時雨のメッセージを伝えるシーン。
◆結末
ＰＣ?はペパーミントグリーンの傘を差して歩いていく。
日常のつらさも、オーヴァードとしての能力も傘の中に隠して生きていこう。そう誓った。
通りすがりの少年がＰＣ?の顔を指差してこう言った。
「ママ、あの人傘を差しているのに、顔が濡れてるよ！」
頬に手を当ててみる。本当だった。
●殉職（ＰＣ?）
◆描写
墓の前で手を合わせてＰＣ?は思う。
由井は自分が正しいと思うことを信じて、
過去の罪を清算するために行動して死んでいった。
自分もいつか正しいと思うことと自分の立場を秤にかけなければならない時が来るだろう。
その時は彼のように動けるだろうか。
◆解説
事件は終わった。そしてＰＣには刑事という日常が待っている。
◆結末
携帯が鳴った。非番だというのにこの仕事には休みが無い。刑事という誇りある仕事は。
ＰＣ?はまたこの場所に来る事を墓に向かって約束すると、その場を去っていった。
●Ｋ市支部長殿（ＰＣ?）
◆描写
全てを終わらせて支部に戻ると、
一人の人物がＰＣ?を向かえてくれた。霧谷雄吾だ。
◆解説
Ｋ市の今後について語るシーン
▼セリフ：霧谷雄吾
「お疲れ様でした。今回の件が無事終了したのも、
Ｋ市支部、引いては支部長であるＰＣ?の賜物でしょう。」
「しかし、この前の反乱で全国のＵＧＮ支部の機能が低下しているのは否めません。
ＦＨや長瀬残党の動向。今後も支部の運営は厳しいものとなるでしょう」
◆結末
「ですが、希望がないわけではありません。各支部には貴方のような素晴らしい人材がいます。」
「では、視察を開始しましょうか。最も先程の件で支部の能力は確認しましたがね。」
ＰＣ?の中に、ふと疑念が走った。
「もしかして霧谷は支部の能力を見るためにわざと囮になったのではないか？」
「想像にお任せしますよ。」
霧谷はこちらも見ずにそう言った。
●正義の手（ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?の手には一握りの砂が握られている。光の残りだ。
同じようにオーヴァードを庇護する組織に育てられて、同じように組織の為に働いたＰＣ?と光。
もしかして二人には何の違いもなかったのではないか、今ではそう思う。
◆解説
街頭のテレビが"ヴァニッシュ"を映す。何人かの子供達は"ヴァニッシュ"を応援している。
◆結末
このヒーローに憧れて、殺人を繰り返した女の子のことは誰も知らない。
「世界は残酷だ。」
ＰＣ?がそうと思ったとき、手の中の砂が流れていった。
まるで何かに答えるように。
●依頼終了（ＰＣ?）
◆描写
ＰＣ?は事務所の中で新条梢に報告をしていた。
「そうなんですか。光ちゃん、事故で亡くなられたんですか・・・。」
ＵＧＮの依頼通り、光は交通事故で亡くなったと報告した。
部屋には盗聴器が仕掛けられ、離れたビルにはＵＧＮのスナイパーが待機している。
何か起きれば抗レネゲイド弾丸を装填したライフルで狙撃する準備が出来ている。
何かとはＰＣ?が"依頼通りに報告をしない場合"も含まれている。
いくら規定額以上の報酬を貰ったからといって、迷惑な話だ。
◆解説
ＰＣ?と梢の今後の関係を予感させるシーン。
◆結末
梢は暫く大声で泣いた後で顔を上げると、瞳が獣のようにらんらんと輝いていた。
オーヴァードの聴力でなければ聞こえない、ライフルを捨てて走る音と叫び声が聞こえた。
スナイパーが驚いて逃げ出したのだろう。ＵＧＮが聞いて呆れる。
梢はＰＣ?の顔を暫く見つめると、「すごいわ、たんていさん！」と言った。
「あたし、怒ったり悲しかったりすると、目が輝いちゃうことがあるの。
大抵の人は驚いちゃうんだけど、驚かなかったのはたんていさんがはじめてだよ！」
「料金も子供だからおまけしてくれたし、
本当にありがとう。」
「じゃあ、あたし今から光ちゃんのお墓参りに行ってきます。
もし、また困ったことがあったらお願いしますね。」
梢がドアを閉じて出ていくと、ＰＣ?は全身の冷や汗を拭った。
●アフタープレイ
エンディングまで終了したところでこのシナリオは終了する。
ルールに従って、アフタープレイの処理をしていくこと。
●蛇足
書き上げて見てとりあえずの感想は、
「敵が強すぎてクイックスタート＆手持ちの経験点０点だとＰＣ達が勝てないかも知れない。」
ということです。
もしプレイされる方がいましたら、ＰＣの能力を見て敵のデータを調整して下さい。
なお、クイックスタートのＰＤＦファイルは公式サイトよりリンクさせて頂きました。
