ルパンに会いたくて…

アジアンパンクRPG サタスペ (Role & Roll RPG)

アジアンパンクRPG サタスペ (Role & Roll RPG)

プレイ人数:4〜6人
プレイ時間:3時間
シナリオ執筆:Hellbaby
シナリオ概説:「ルパン三世に会いたいんです!」
 君たちが出会った少女の願いは驚くべきものだった。
君たちはオオサカの街で本当に少女をルパン三世に会わせる事ができるのか?
 これはこの憧れるものがないオオサカで、君たちが亜侠に憧れるまでの物語だ。

■フォア・プレイ
 このシナリオは初めて冒険を行う、4〜6人のチームを想定しています。
使用するルールは主に「情報」「血戦」です。

■舞台
 このシナリオは、ミナミが主な舞台になります。
 サタスペp150のマップをコピーして、プレイヤー全員が見ながらプレイすると、セッションがスムーズに進行し、より盛り上がるでしょう。

■導入:ルパン好きは萌えているか?*1

●描写
 君たちはやることが無くて、JAIL HOUSEで酒を飲みながら時間をただ潰していた。
備え付けのTVの番組はニュースが終わり、再放送のルパン三世が流れ出す。
今はちょうど17:30だ。
 君たちが暇つぶしにルパン三世を見ていると、君たちのテーブルの横に女子中学生が寄ってきて声をかけた。
「あなたたちもルパンが好きなんですか?!」
「あたし、字根文子(じね・ふみこ)っていいます」
文子はしばらくもじもじしていたが、やがて意を決したように君たちに言った。

「お願いです!ルパン三世を探してもらえませんか?
あたし、どうしてもルパン三世に会いたいんです!」

 君たちがどうするか考えていると、後ろから殺気を感じた。
 振り向くとハンカチで手を拭きながら、文子のカレらしい人物が立っている。
 オオサカの有名人にしてレズで有名な契約刑事“利き腕の”マリア・ヴィスコンティだ。
最悪だった。

「ふ〜みこちゃ〜ん。ごめんねぇ、花を摘むのに時間がかかっちゃってさぁ」
(ショットガンを構えて)「誰だ手前ら?文子ちゃんにコナかけると利き腕を吹き飛ばすよ?」
文子はあわてて君たちをフォローしてくれた。

マリアさん。この人たちはルパン三世を捜すの手伝ってくれるそうなんです!」

 マリアは破顔すると、文子をその場に待たせて君たちを奥へ連れて行くと事情を説明した。

「文子は別にふざけている訳じゃない」
「彼女は九州の田舎の出身でね。なんでも心臓病で入院している弟が今度手術をするそうなんだが、手術を怖がって受けないらしいんだ」
「そこで、弟が大ファンのルパン三世のサインが手に入れば、弟も勇気を出して手術を受けてくれると思ったらしい」
「GWを利用して、何でもあるという噂のオオサカまで来たはいいが、どうすればいいかわからず、途方に暮れているのをあたしが手を差し伸べてやったのさ」
「どうだい?相談なんだが、なんとかルパン三世を見つけ出してやってくれないか?」
「もちろんタダじゃないよ」
「明日の朝までに探し出してくれば報酬は払う。前払いで札巻きを人数分、成功すれば札束を一個追加だ。文子は明日には九州に帰るんだ」
「おまえたちがルパン三世を見つけ出せば、気をよくした文子と二人でしっぽりと朝まで、失敗したら傷ついた女心を慰めつつ二人でしっぽりと朝まで、と言うわけでどう転んでも巧くいくのさ」
「名付けて、「ルパンを捕まえてラブホテルへ行こう!」作戦よ」
「じゃあ、あたしたちはJAIL HOUSEでイチャイチャしてるからよろしくな」

かくして君たちのチーム○○はオオサカでルパン三世を捜すことになった。
しかし、文子の真摯な眼差しを思い出すと、悪くない仕事のように思えてきた。

●説明
 このシナリオはその日の夕方から始まり、明日の朝までの期間を4ターンと設定します。
4ターン終了するまでにルパン三世を探し出し、字根文子に会わせて下さい。


■情報収集

ルパン三世 念力珍作戦 [DVD]

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●ルパンを探しだす
SL1/マニア、ヲタク、読書
 オオサカにルパン三世がいるはずはない。あれはマンガだ。
君たちが文子にルパン三世を会わせるとしたら、偽物を仕立て上げるしかない。
ルパン三世の偽物を造るにはまず素材となる役者とルパンのコスチュームが必要だ。
まずは役者を探そう。ルパンに関係する国民的な芸能人といえば一人しかしない。
そう、「ルパン三世 念力珍作戦」でルパン三世を演じた俳優、目黒祐樹だ。

SL2/旅行、アウトドア、ヒマツブシ、サビシガリ
 目黒祐樹は、現在紀行番組「突撃!隣の台所」のレポーターとして、
ナニワ地下帝国の堅昆布にいるようだ。

■イベント:ニセルパンを捕まえろ!*2


●描写
 地下道をひたひたを歩いていくと、やがていくつもの墓が並んでいる場所にでた。
そこでは場違いに日に焼けた健康そうな男が流暢なカリフォルニア訛りのオオサカベンでお墓に向かってインタビューしている。
間違いない、彼が目黒祐樹だ。

(お墓に向かって)「Dead!ご冥福をprayします」
「So,what!ルパン三世になってくれという依頼ですか?」

●説明
地下帝国の堅昆布までは迷宮のルールを使用して移動してください。
(※ロケットNo1p66)
目黒祐樹を偽ルパンにする為には3つの方法があります。

1、前払いの札巻を全員分ギャラとして渡す→素直に引き受けてくれる。
2、前払いの札巻を一個だけ渡す→ルパン三世を演じたことがある俳優としてルー大柴*3を紹介してくれる。
3、トリコにする*4

役者を手に入れると次のイベントになります。

■イベント:誰が最後に笑ったか?*5

●描写
 役者は手に入れた。
後はルパンのコスチュームを着せるだけというところで、誰ともなく言った。

「ところで、ルパンの背広の色は何色がいいと思う?」

君たちには譲れないものがある。
ふところにしまってある武器がやけに重く感じた。

●説明
ルパンのコスチュームは緑色か赤かピンクの背広を着せればよい。
ただ、そこには各人の深い拘りがあると思うので、話し合いで決めて欲しい。
具体的にはチーム全員が戦闘:難易度9の判定を行ない、
一番成功度が高かったものの意見が採用される。
なお、意見が通ったPC以外は、この殴り合いで肉体点を1d6点減少し、(セーブ不可)異能「_の絆」を獲得する。
この論争を通してチームの絆が一層深まったのは間違いないからだ。

背広の色を決めると、次のイベントになります。

■イベント:コピー人間は高くつく*6

●描写
 夜明け前にJAIL HOUSEに戻ると文子とマリアが待っていた。
文子は遠目にルパンと君たちの姿を見て喜ぶが、近づくと怪訝そうな顔をしだす。

(手をふって飛び上がりながら)「キャー!ルパンだわ!本物のルパン三世だわー!!」
(近づくと)「ルパン…です、よね…?」

君たちの亜侠としての腕が試される時がきた。

●説明
 君たちは準備したニセルパンを文子に本物だと信じさせなければなりません。
そのためにはチームの誰かが犯罪の難易度:13の判定に成功する必要があります。
ただし、以下の修正を加えてから判定してください。

背広の色を決めるときに戦闘の判定を行っている:−1
目黒祐樹ではなくルー大柴を連れてきた:+1
判定をする前に他のPLが*7ルパン三世に関係する歌を歌って雰囲気を盛り上げる。一名歌うごとに:−1
PLが歌う歌がハモる。:-1

参考リンク
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9718253
http://www.nicovideo.jp/watch/sm60237
 ここまで説明をしてからPC達が判定するまでに第一シーズンから第3シーズンまでの合計話数の時間、228秒(3分48秒)の猶予を与えてあげましょう。
PLにはその間にルパンに関係する歌を歌うように指示して下さい。
 時間が経過したら問答無用で判定を始めて下さい。
そこまでにPL達が歌う歌の一部分でもハモらなければ修正は無効となります。

判定を行うと次のイベントになります。

■イベント:ルパンの敵はルパン*8

●描写
 君たちが準備したルパンと文子の対面が無事に終わろうとしていると、外から警官たちの説明的な怒声が聞こえてきた。
「大変だー!アーカムアサイラムから自分たちをルパン一味だと思い込んでいる三人組が脱走したぞー!」
気が付くとJAIL HOUSEの入り口には目が据わった三人組が押し入ろうとしている。
すると、マリア・ヴィスコンティはいけしゃあしゃあと啖呵を切った。

「ルパンの偽物とは許せないな!」
ルパン三世、あなたが出るほどの相手ではない!
 そこにいるチーム○○が退治してくれますよ」

どうやら君たちがニセルパン一味の相手をしなければならないようだ。

●説明
ここからジオラマをDLして適宜配置して戦闘して下さい。
http://www.bouken.jp/product/satasupe/pdf/diorama_bank.pdf
敵は、ニセルパン、ニセ次元、ニセ五右衛門の三名となります。

 また、イベント:どっちが勝つか三代目で文子にニセルパンを本物と信用させる判定に成功していると、文子は【応援】の異能を使用してくれます。

ニセルパン達を全員倒すと次のイベントになります。

■イベント:さらば愛しきルパン*9

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●描写
 戦闘が終わると、奥から文子の絹を裂くような悲鳴が上がる。
 駆け付けると、君たちが準備したニセルパンの背広に流れ弾が当たり、
背広が脱げてしまっている。
文子に偽者だとばれてしまったのだ。

「本物のルパンじゃない!この人も偽物だったのね!」

すると、マリアはかぶりを振って喋り出します。

「やれやれ、やっぱり女の子を騙すのは性に会わないな」
「そう、このルパンは俺達が準備した偽者さ。けど文子ちゃん考えてみなよ」
「文子ちゃんと弟さんの為にこれだけの人たちが一所懸命頑張ってルパン三世に会わそうとしてくれたんだよ?」
「弟さんに伝えてあげなよ。「ルパン三世のサインは貰えなかったけど、オオサカで弟さんの為にルパン三世に会わそうとしてくれた人がこんなにいたよ」って」
「きっと弟さんも勇気を出して手術を受けてくれるんじゃないかな?」
「あー、文子ちゃんのこと口説こうと思ったんだけど、そんな雰囲気じゃなくなっちゃったなぁ」

マリアはふところから紙袋を出して渡すと言う。

「オオサカみやげのJAIL HOUSEせんべいだよ。弟さんの分も入っているから」
「チーム○○、済まないけどオオサカ駅まで文子ちゃんを送ってあげてくれないか?」

言い終わるとマリアはさみしそうにとぼとぼと去っていった。

描写2へと続きます。

●描写2
オオサカ駅前─
 君たちに見送られながら、文子は紙袋を抱きしめて駅に入ろうとしていた。
 すると2CVのパトカーが停まって、ウインドウを下げて運転手が顔を出した。
オオサカの有名人にしてレズで有名な契約刑事“利き腕の”マリア・ヴィスコンティだ。

「お、かわいい娘じゃん。お前達の知り合いか?」

君たちが怪訝そうに尋ねるとマリアは首を捻って言った。

「バカいうな。あたしは売春容疑で捕まえた女子小学生と取調室でずっとふたりきりさ」
「昨日はJAIL HOUSEに顔を出したりしてないぜ?」

マリアの話を聞いて、文子は紙袋をあわてて開ける。
そこには達筆のサインが書かれた色紙が一枚入っており、色紙には一言添えてあった。

「サインの代わりに文子ちゃんの大事なものを盗ませてもらったぜ。 

 それとチーム○○、次に会うまではもっと腕を上げるんだな。

           準備した偽者を見た時笑いを堪えるのに苦労したぜ」 
                                               ルパン三世

 文子は色紙を見ると慌てて自分の持ち物をチェックする。
そして君たちに尋ねた。

「おかしいわ。あたし何も盗まれていないもの!」

するとマリアが、
「ルパンの野郎、文子ちゃんの心を盗みやがった!絶対捕まえて取り返してやるぜ!」
と言うや否や、2CVのアクセルを吹かして車を急発進させる。
 文子は明るい笑顔を見せながら、ルパン三世の色紙を出すと、
「ここに皆さんのサインも貰えますか?素敵な亜侠さんたち?」と君たちに尋ねます
 君たちが色紙にサインすると発車のベルが鳴り響き、文子が手を振りながら電車に乗ったところでこのシナリオは終了します。
これは、世界一の亜侠とやがて世界一になるかも知れない亜侠の、最初の出会いの物語である



NPC

●字根文子(じね・ふみこ) 14歳 ♀
データは中学生(p122)を使用。
ただし、異能【仁義なき戦い】を【応援】に差し替えて下さい。

●ニセルパン
「お〜れ〜はル〜パン〜だ〜ぞ〜♪それほほいのほい♪」
(ステアーAUGを構えながら)「ワルサーP38〜♪」
データは兵士(p130)を使用。

●ニセ次元
(トヨトミピストルを構えながら)「仕方ねぇルパン!水銀弾を使うぜ!」
データは三下(p125)を使用。

●ニセ五右衛門

(トヨトミピストルを構えながら)「今宵の斬鉄剣は一味違うぞ!」
データは三下(p125)を使用。

目黒祐樹(またはルー大柴

データはスーパースター(ロケットNo1p25)を使用。

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質問やご感想がありましたら、コメント欄にお願いします。
ご意見、ご感想をお待ちしています。

*1:1st 第1話より

*2:1st 第20話より

*3:1998年上映のミュージカル「ルパン三世 I`m LUPIN」でルー大柴は主役としてルパン三世を演じています

*4:なお堅昆布では住居を購入することができますので適切な部屋が購入できればふたりきりになれる、とします

*5:1st 第12話より

*6:3rd 第9話より

*7:キャラクターが歌うのではなくプレイヤー本人です

*8:2nd 第65話より

*9:2nd 第155話より